本論は、近代日本の仏教思想である日蓮主義とアジアとの関わりを検討した論考である。 陸軍軍人の石原莞爾は、田中智学の国柱会の熱心な信者であった。 本論では最終戦争論や東亜連盟論をはじめとする石原の思想を取り上げ、その思想形成過程で、日蓮主義から受けた影響を分析した結果、石原の思想には、アジ ア連合を主張した普遍主義的な側面と、国体や天皇を重視した特殊主義的な側面があることを明らかにした。