本論は、滋賀教区浄土宗青年会の近江米一升運動を事例として、現代社会における宗教の社会的役割を問い直した論考である。 近年、日本の宗教研究では「宗教の社会活動」に関する研究が活性化しており、その研究動向を概観した上で、事例を分析した。この運動の背景には教区内の寺檀関係と寺院同士の結束型のソーシャル・キャピタル(SC)があり、さらに檀家外や地域外との関係性を築き上げる橋渡し型のSCを醸成する可能性があることを指摘した。