キーワード:明州 都市空間 楼店務地 経界法
本稿は南宋紹興経界法による楼店務地の等則をもとに、宋代明州城の都市空間を復原し、その諸特徴を探った。等則の高い街路の多い東北廂は、明州城の商業区域であり、最もにぎやかなところであった。東南廂は海外貿易の行われる地区と住宅・寺院の多く見られる地区に分かれる。等則の低い街路の多い西北廂は軍営が多く見られ、また西南廂は邸宅が多いという特徴が見られた。禁軍営が繁華街より離されたのに対し、廂軍営は繁華街に位置し、都市に住む社会的弱者よりも生活上の優遇が図られていたとい