従来,地域史研究として進められてきた中国五代の呉越国の権力構造を取り上げ,中原王朝との関係性のなかにその特徴を見た。呉越国の国王は様々な装置を通して当時の天下秩序の中に位置づけられており,分裂時代と認識されてきた五代十国時代に対して,そこに働く世界秩序を把握することが重要であることを論じた。