五代十国時代は,大きく分けて華北の五代王朝と華南の十国に区分されるが,五代諸王朝と十国の関係を国書や中原王朝への上納行為をもとに,二種類に分類した。一つは「敵国」と呼ばれる中原王朝と対等関係にある諸国であり,もう一つは呉越国に代表される封爵された諸国である。五代の天下秩序は,華北王朝によって発信されるものであるが,華南諸国との種々の装置を通じて,形成され維持されていることを論じた。