従来の藩鎮研究は唐末五代の分裂的様相を象徴するものとして消極的に位置づけられてきたが,本稿では藩鎮の行政区画である五代の「道」について注目し,その地域行政組織としての機能について論じた。五代の「道」は華北に40前後設置され,その下に州・県が所属した。州県の業務は道を通じて達成され,道単位での地方財政も成立しており,道が五代において地域支配システムとして確立していたことを明らかにした。