呉越国が建国されるにあたり,在地の防衛集団である杭州八都が結成されたが,本稿ではそれら在地防衛集団の特質を扱った。長江デルタにおける低湿地地帯では,唐後半期以降に中央財政における塩税の比重が強まるなか塩業務機関が建設され,それらと諸都市が水路などによって連繋していた。唐末の叛乱にともない,杭州周辺ではそれら諸都市が在地防衛のもとに結合し,内部では婚姻関係の構築が目指されていた。これら浙西の強固な在地防衛集団はその後,その在地防衛が個別分散的であった浙東地域へと勢力を拡大してゆき,呉越国が建国されることにな