本論は,これまで研究の進んでこなかった北宋時代における杭州について,城内・州内・両浙路内の三層にわけて論じた。そこでは,これまでに論じた唐末五代における杭州城を踏襲しつつ,改変が試みられ,特に蘇軾が長官である知州であった時代に大きな都市変革が見られた。また首都を経験した杭州が,両浙路の中心都市として各地の物貨を集積・分配し,同路の中核都市として君臨していたことを論じた。