【対象】2017年4月1日から2018年3月31日に入退院した患者209名のうち、SHRに該当する患者。SHRの内訳は、1協力者なし、2経済的困窮、3住環境、4家族間関係、5独居、6老々介護、7介護の必要な家族あり、8高齢な親が介護者、9虐待、10身寄りなしとした。
【方法】入院患者のうち、SHRの内訳に応じSHR該当患者を選定、運動器・脳血管疾患に分け、在院日数・在宅復帰率を調べた。
【結果】在院日数が平均よりも多いのは、脳血管疾患患者180では、SHRの内訳のうち1から10のすべての項目が該当し、特に、協力者なし、住環境、介護必要な家族あり、高齢な親が介護者の項目で在院日数が多かった。脳血管疾患患者150においては、住環境、老々介護、虐待が該当した。同様に運動器疾患患者では、住環境、家族間関係、独居が該当した。また、すべての疾患においてのSHR患者の在宅復帰率は、協力者なし、経済的困窮、家族間関係、独居、高齢な親が介護者、身寄りなしの項目で低下していた。
【結論】SHRは退院支援においてSHR以外と比較し時間や人手を要する。特に症状が重い患者では、ADL能力を改善するのに時間を要することに加えて、退院するための人的環境を補完する物理的環境的条件の設定に時間がかかり、在院日数が延長する傾向にあると考えられた。また、在宅復帰率においては、人的環境の影響度が高いと考えられた。