目的:本研究では在宅要介護高齢者を介護する家族を主とした介護者(介護者)の主観的健康感に影響を与える要因について明らかにする.対象と方法:適所リハビリテーション利用者の主介護者46名とした.主介護者の基本的属性,介護状況,介護負担感,主介護者の主観的健康感とした.分析方法は介護者の主観的健康感と介護負担感を基本的属性や各調査項目を用いて分け,Mann-Whitney検定を用いた.結果:介護者の主観的健康感と各調査項目の比較では介護者に就労があるほうが主観的健康感が有意に高く,治療を要する病気の有無では病気がないほうが,主観的健康感は有意に高い結果となった.介護者の介護負担感と主観的健康感の比較では認知症の有の方が介護負担感が有意に高い傾向が認められ,経済的負担の有の方が介護負担感が有意に高い結果が得られた.結論:介護者の主観的健康感に影響を与える分析より介護者の主観的健康感の向上には,介護者本人の介護と就労との両立が整っている,身体的・精神的に治療を要する疾患がなく健康的な状況での介護環境が必要と考えられた.また,介護負担感を増す要因は,介護についての経済的負担感が高い傾向,要介護高齢者が認知症であるとの結果が得られた.主観的健康感との関連では,認知症であるほど介護と就労の両立や健康的な状況を維持することが困難,経済的負担も高くなることが示唆された.