本研究は,日英の学校において調査を行い,両国の教師の子どもの課題を捉える認識枠組と課題解決に向けての実践方法の相違を明らかにすることを目的としている。
イギリスでは,「特別な教育的ニーズ」概念を用いることによって,社会・経済・文化的要因,あるいは家庭環境要因からもたらされる子どもの課題に対しても,「障害」として読み込むことなく,きめ細やかに対応することができていた。日本においても,教師らは,「気になる子」「支援の必要な子」という概念を用いて,障害の有無に関わらずすべての子どもを包摂しようと努めていた。しかし,一方で,「グレーゾーン」の子どもたちは,「発達障害児」と見做される傾向も見られた。