統合失調症への偏見は,家族に責任を強いる法制度,発病や再発を家族の責とする家族研究の歴史に拠るところが大きい.統合失調症親のドミナント・ストーリーは,親が本人をケアし,それが出来なくなると入院やむなしと考える.他方,親の居る間に,本人のケアを脱家族化した親のオルタナティブ・ストーリーは,訪問系支援を本人が利用し,ケアを親から専門家へ移行していた.家族全体を支援する仕組みの制度化とケアを脱家族化していく障害種別を超えた幅広い運動と家族ケアに依存しない豊かな実践が求められている.