本稿の目的は、長期のスーパーバイジー経験を有する精神保健福祉士がスーパーバイザーになっていくプロセスを明らかにし、今後のスーパービジョン体制整備のあり方を検討する示唆を得ることである。4人の精神保健福祉士の語りをTEMで分析した。分析の結果、スーパーバイザーになっていくプロセスにおいて、長期のスーパーバイジー経験におけるスーパーバイザーをロールモデルとして内在化していること、新米のスーパーバイザーの時期には、事例検討への陥穽や過大な課題提示の失敗を経験すること、スーパーバイジーとの関わりが自己を更新していく互酬的関係となっていることが示唆された、また、地域でスーパービジョン体制を整備していくためには、スーパーバイザー支援、マッチング、モニタリング等を行う運営体制の構築と日本精神保健福祉士協会との連携が重要であることが示唆された。