保護者制度は、2013年の改正精神保健福祉法の成立により廃止された。しかし、医療保護入院の要件に「家族等」の同意を残し、保護者制度廃止は有名無実と化した。本稿は、「家族等」同意による医療保護入院とした政策形成過程を精査するとともに、非自発的入院の手続きや期間について欧州諸国との国際比較を行った。その結果、家族に依存しない「脱家族」の制度設計を目指すべきであり、そのために医療保護入院には、「公的保護者制度」を創設すること、準行政処分であることから入院費を公費負担とすること、インフォームドコンセントと意思決定支援を制度化することを指摘した。また、在宅生活において家族ケアに依存しない施策として、居住系施設の拡充と訪問系支援体制の構築を目指すべきであるとした。