本研究は,日本音楽教育学会第44回大会プロジェクト研究Ⅰにおいて口頭発表,討論した内容を基盤にさらに考察を深めたものである。多様な音楽教育場面における「記録」の意味や役割の検討を通して,音楽教育研究の諸相について考察した。「記録」を考察する視点として,記録を記す,記録を読む,記録で考える,記録を残す,の四つの視点を設定している。主に音楽科授業に関する記録(pp.29-31)について担当し,質的研究と量的研究との関係で「記録」の課題を取り上げ論考した。教師の授業中における思考をどのようにとらえ分析するかにつ