教師教育充実の緊要性が,近年ますます声高に叫ばれている。そのような中,2015年には中央教育審議会が,「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について―学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて―」という,今後の教師教育の核となる答申を発表した。この報告では,PCK理論から教科教育について言及されている。この内容を検討しながら,音楽科の教師教育の在り方を捉えることは焦眉の課題である。
本研究の目的は以下の2点である。
1) PCK理論を視座として中教審第184号を解釈し,教科の立場から教師教育の方向性を整理する。
2) PCKは教師の実践知である(坂本・秋田2012) との立場から,音楽科授業における新人教師の実践知を解明し,教師教育への提言を試みる。