本研究では,音楽科授業において新人教師が遭遇する困難と,その克服体験に関する調査を行った。本稿では紙数の制約上,その方法および結果といった調査の詳細を紹介することはできないかったが,そこから得られた「音楽科における新人教師の力量形成に関する示唆」を提示した。具体的には次の5点である。示唆一:子供の状況を把握した教授行為の重要性を認識する。示唆二:教師と異質な子供の実態に遭遇した時,認めないこと・認めることの瞬間的な見極めを大切にする。示唆三:メンターを活用して授業の進め方を試行錯誤する。示唆四:音楽科特有の授業ルーチンを模索する。示唆五:自己の音楽科授業の在り方を追求し続ける。