美学会全国大会での口頭発表。日本古来の素木の一木彫にみられる一見、未完成と思われるような表現について、その積極的な意義を提唱したもの。塑造、乾漆造、銅造など、他の素材による仏像ではこのような表現は認められず、彩色や漆箔を施さない素木の一木彫に限ってみられるこの現象が、霊木からの出現を表した意図的な表現であると考えられることを、多くの作例によって立論した