『源氏物語』に唐絵のモティーフのひとつとして挙がっている「荒海の怒れる魚」に注目し、その具体的表現を奈良時代から平安時代の作品の中に求め、そのオリジンを古代インド人が発想した空想動物マカラにあるとしたもの。インドでのマカラの変還を追い、グブタ期以降のマカラが下半身をグブタ式唐草であらわす「化生態」をとっていることに注目し、中国ではマカラがあたかも竜の如き形態に変容している点にも言及した。