日本におけるグプタ式唐草の初期受容に続く定着の様相を、主として連続文様の中にたどったもの。具体的には、光背周縁部、透彫り金具および尊像の彩色文様などを中心に8世紀前半の動向を考察し、その上でグブタ式唐草の宝庫ともいうべき当麻寺坂光背軍の彩色文様を再検討した。その結果、従来説かれてきた室生寺坂光背をもって坂光背の始まりとする考え方に強い疑問を投げかけることとなった。