全国に散在する素地仕上げの一木彫像の中には、一見未完成を思わせる作例が多い。これらについては従来「彫りかけ」または「手抜き」といった、彫塑としてはマイナスの要素として理解されてきたが、多くの作例の具体相を分析した結果、これらが神仏習合思想に基つく表現ー霊木から姿をあらわしつつある仏として積極的な意味を持つものであることを論じたもの。