従来、8世紀後半の作とされてきた兵庫・大龍寺菩薩形立像について、相貌・肉身・着衣・胸飾り・台座などの諸点から総合的に検討し、8世紀前半期の造立とすべきことを論じたもの。本像を8世紀前半に定位させることにより、従来8世紀後半から9世紀前半へかけての時期に特有の技法であるとされている乾漆併用木彫全体の編年についても疑問を提出することとなり、従来の一木彫の編年に一石を投ずる結果となった。