比較的コミュニケーションの動機や態度を育むことを図りやすいと思われる幼児教育の場において, 保育内容の人間関係の観点から, どのような取り組みが可能であるかをハーバーマスのコミュニケーション理論等を援用し考察した。
幼児教育においてコミュニケーション的行為の理論を検討することにより,三つの問題点が明らかとなった。第一には,了解の図り方以上にコミュニケーションの生成が重要であること。第二は,理論としてではなく実際の生活において,理想的発話状況の前提となる心情・意欲・態度の検討が必要となること。第三には,保護者との連携を通しての過程での配慮の必要性である。コミュニケーション的行為の理論を有用にするためには,教育論の捉えなおし,教育論から教育実践への変換等の検討が今後も必要になることを課題として抽出した。