本研究は,質問紙調査を用い,家庭内で子どものジェンダー形成に大きな影響を与える保護者の性役割観尺度をもとめ, しつけ場面における種々の要因との比較検討を行なったものである。本研究から明らかになったことは, 男性には公的領域における職業達成を期待し, 女性には私的領域における母役割・妻役割を期待する傾向の高い伝統的性役割観を内面化している親は, 他の親より, ジェンダーを容認する傾向があるということである。しつけという行為は, 親の性役割観尺度と関連をもって行われているのであり,伝統的な性役割観を内面化している親は, 伝統的なしつけを重視し, 子どものジェンダーに基づき「男の子らしい」「女の子らしい」しつけを子どもに求めるのである。それが子どものジェンダーの形成・再生産にも影響を及ぼしていると考えられる。