本研究は, 幼保一元化,総合施設のモデル事業開始等に代表されるわが国の就学前教育・保育の変革期に求められる保育者像を明らかにすることを目的とする。幼稚園・保育所の関係性に関する歴史的考察と現状の課題の把握を通して総合施設のモデル事業を検証したところ幼保一元化という言葉であらわされる幼児教育・保育の変化は,幼稚園機能・保育所機能の拡大化を意味するものであり,幼保多元化ととらえることが適当ではないかという帰結に至った。また課題として保育現場から内発的に議論されて表出してきた課題でない点に問題があるのではないかと考えられることも明らかとなった。