本研究では,保育者が「協同的な学び」の理解を推進することにより,保育に用いる援助スキルに変化が現れ,その変化が子どもの年齢とどのような関係にあるのかを検証することを目的とする。ビデオ自己評価法を用いた保育者の意識変化調査の結果,第一に,幼稚園教諭の保育中の援助スキルを自己評価することにより,教諭自身の意識に変化が起こり,その変化が保育スキルにも影響を及ぼすという点。第二に,援助スキルの変化の傾向は積極的な援助スキルである「会話をする」において顕著にみられた点。第三に「会話をする」以外に関しては,同調傾向を見せる項目もあったが,対象園児の年齢,教諭との関係により用いられる援助スキルの種類の傾向が異なる点が確認された。併せて,例えば3・4歳児の担任はまず信頼関係を築くためにコミュニケーションの基礎となるような援助スキルを多く用いるのに対して,5歳児では子どもの自主性を必要とする,「協同的な学び」に発展する可能性を有している援助スキルを多く用いる傾向があるということが確認された。