評論家・花森安治の「商品テスト」以前の著作を取り上げ、花森が提唱した「暮しの美意識」の特徴を明らかにした。特に服飾デザインに関する言説を中心に分析し、花森が和服と洋服、和風デザインと洋風デザインを融合した(敗戦後の)新しい美意識の構築を目指していたことを指摘した。さらに「日常」「実用」「個性」「変化」といった言葉で特徴づけられる言説から花森の生活に関する啓蒙活動の根底にある思想について考察した。