J・D・サリンジャーの短編小説「バナナフィッシュにうってつけの日」をユング心理学観点から解釈している。作品の中で主人公シーモアが語るバナナフィッシュの寓話は「母なるもの」から自立しようとして失敗した男の物語であることを論証している。子は親から愛情と栄養を与えられて育てられるが、大人になる時期に来た子にはその愛情と栄養を断ち切る決意が必要になる。 バナナフィッシュが食べ続けるバナナとはその愛情と栄養の象徴なのである。