J・D・サリンジャーの代表作『ライ麦畑でつかまえて』における主人公ホールデンと彼の両親との関係を、進化心理学の「親子間対立」というコンセプトから解釈している。進化論の観点から見ると、親と子の利害は対立する部分があり、ホールデンが親に反抗するのももっともな理由があるといえる。そして『ライ麦畑』が長年若者に支持され続けてきたのは、この作品が子の側の利益を主張しているためである。