J・D・サリンジャーの作品『ライ麦畑でつかまえて』、「バナナフィッシュにうってつけの日」における主人公達の少年から大人へと成熟していくプロセスを、主に心理学的観点から解釈した論文である。 これらの主人公達は安全な子供の世界から出ていく恐怖と、子供のままにとどまっていることによって自分の存在が呑み込まれてしまう恐怖の間で非常に不安定な精神状態にあり、これらの主人公がいかにしてそれらの問題を克服していくのかを心理学的に検証している。