都市人叢書の一つである方方『武漢人』を中心に同シリーズ及び池莉「武漢話題」との比較を通して、方方の視点から見た「武漢人」の特徴と定義を分析した。発表では特に武漢の地理的条件に着目し、地図だけではなく南北の文化圏のラインに関して、言語・農耕・食文化などの多面的なものを示し、武漢人の抱えている文化的な揺れをそのなかから実際に示した上で、方方の考える武漢ないし武漢人の定義に関して、読み解いた。その上で、なぜ方方や池莉が武漢ないし武漢人についての語り部になることができたのか、という点についても指摘を行った。