「諸人伝説の詞」は文字通り、法然が、あるとき、どこかで、誰かに語ったことばを、そばにいた弟子が聞き覚えていて、その弟子が「法然の生のことば」として伝承していたものを収録したものである。 隆寬一編、乗願三編、信空十編、聖光六編、禅勝七編、道遍一遍、計六師からの伝承、二十八編の法然の法語が収録されている。 まず、『和語燈録』校合で文字の異同を確認し、寛永版が元亨版とは別の系統であると思われる明らかな痕跡を指摘し、そもそも『和語燈録』が作成さあれる早い段階で、漢字平仮名系と漢字片仮名系に分かれていたことを示