和讃が日本仏教の歴史の中で果たした役割と、中でも法然教団での和讃が果たす役割について述べた。 和讃は、和語による仏教歌謡で、仏菩薩の教えや功徳、祖師高僧の業績を讃えたものの中、七五調で四句以上不定数句からなるもの、と定義される。それらは日本仏教において古くから唱えられていたが、正式な法要儀式に使用されることがなかったので、注目されずにいた。しかし、確実に人口に膾炙することで、人々の信仰心を熟成させる役割を果たした。本稿は特に法然とその周辺における和讃についてまとめた。