日本の南部伊豆諸島、奄美諸島の改葬習俗と、韓国の草墳と称される葬送の一形態とを比較検討する。その結果、改葬や草墳は決して墓制習俗として議論される対象ではなく、死者祭祀の一段階として位置付けられるべきであることを提示し、かつ韓国の草墳は、儒教式の死者祭祀が一般に普及する以前の,先祖観および死霊観を伝える事例であることを論証する。