労働は憲法でも明記されている権利である。そして労働を権利として保証するためには、労働の場の保障とともに、一定の労働条件の保障が前提となる。障害者が、ごく当たり前の労働環境である一般労働者と共に働く場で、しかも上記の労働権を保障する場は、一般就業において確保されなくてはならない。しかし、精神障害者の労働施策はそれ自体が数少ない上に、一般就業のための施策がほとんどない。この論文では、1でなぜ筆者が一般就業にこだわるのか、一般労働施策の中での位置づけを明確にする。また2では精神障害者のための一般就業施策が立ち遅れている現状を把握し、3で2の要因となっている問題を取り上げる。この一連の過程の中で、諸問題の中でも根本的なものは理念的な問題であることがわかった。そこで、精神障害者の就業に関する理念の問題点を明らかにすることで今後の労働施策に方向性を示すことを目的としている。