ホルモン分泌細胞、特に下垂体前葉細胞における分泌果粒の形成機構について研究を進めてきた。本年度は、主としてプロラクチン(PRL)分泌細胞について観察を行った。PRL分泌細胞株であるGH3B6細胞において、E2,EGF,insulinのホルモン処理を行うと分泌果粒の増加が認められ、免疫電顕法によりPRLの免疫反応が増大するのに伴い。分泌関連蛋白として注目を集めているセクレトグラニン(Sg)I,IIの免疫反応性も増大し、増加した分泌果粒のほとんどにSgI,SgIIが存在することも確認された。この結果は、PRLとSgのmRNAの変動ともよく相関しており,遺伝子レベルの変化が形態学的検索の結果によく反映していたといえる。
下垂体前葉PLR細胞においても分泌果粒にPRLとSgI,SgIIの共存が認められ、またゴルジ装置内における蛋白濃縮過程においてもPRLとSgI,SgIIの混在が認められ、これまでに示唆されてきているSgの分泌果粒形成への関与、すなわち果粒形成への導きとしての役割の可能性が形態学的に裏付けられる結果が得られた。さらに、このSgの働きにpHの変動やGTP結合蛋白の相互作用が重要な要素として関係することが示唆される結果がでてきており,さらに詳しく検索を進めている。