競争的資金等の研究課題

基本情報

氏名 小澤 一史
氏名(カナ) オザワ ヒトシ
氏名(英語) OZAWA Hitoshi

タイトル

FRETによるニューロンの転写因子間相互作用の可視化

提供機関

日本学術振興会

制度名

科学研究費助成事業

研究期間(開始)

1999

研究期間(終了)

2001

代表者

河田 光博,森田 規之,西 真弓,小澤 一史

連携研究者

 

研究種目

基盤研究(A)

配分額(総額)

38600000

配分額(直接経費)

36200000

配分額(間接経費)

2400000

研究概要

グルココルチコイドレセプター(GR)とミネラルコルチコイドレセプター(MR)のリガンド特異性についての実験を行った。GRはデキサメサゾン、コルチコステロン、アルドステロンに対しては細胞質・核移行を生じたが、エストロゲンには反応しなかった。MRはデキサメサゾン、コルチコステロン、アルドステロンの他に、プロゲステロンに対しても細胞質・核移行を行った。細胞質・核移行にどのような分子シャペロンが関るのか検索した。geldanamycinは熱ショックタンパクHSP90と結合することによって、シャペロン機能を阻害する薬物である。Cos細胞において、GRとMRはいずれもgeldanamycin投与によってリガンド投与による細胞質・核移行が阻止されたことから、HSP90がその輸送に強く関っていることが明かとなった。しかしながら、海馬培養細胞においては、コルチコステロンのリガンド投与による細胞質・核移行はgeldanamycinによって阻止されなかった。このことから、cos細胞と海馬ニューロンではHSP90の関与が異なることが明かとなった。ER(α、β)やPRなどはリガンドがない状態でもすでに核に分布しており、リガンドが作用すると核内のリセプター分布様相が変化し、ほぼ均一に分布していたレセプターが細かい粒状の斑点状になった。二重免疫染色したところ、ER(α、β)の斑点はRNApolymeraseIIの部位とは一致せず、むしろクロマチンのリモデリングに関る分子であるBrgと一致していた。また、ERαとβはリガンド添加(エストラジオール)によって核内でほぼ同じ部位に存在し、両者によるFRET形成が観察されたことから、これらもヘテロダイメライゼーション化していることが示唆された。
以上から、FRETによってリガンド依存性転写因子である核内レセプター群の分子どうしの相互作用が可視化された。