EUの政策過程は多様な国益間・政党間の角逐が繰り返される非合理な状況にある。その状況下で、EU官僚制たる欧州委員会は、戦略的な政策変化類型を駆使しながら、同時に、公共性の概念を操作しながら、限定合理性を追求して政策実現を図ってきた。この報告では、その成否と功罪につき、2000年代のEU政策過程を素材として診断した。大要としては、経済政策面での成功と社会文化政策面での失敗とを対比的に提示した。