EUの行政官僚制たる欧州委員会が、戦略的な政策変化類型を駆使しながら、(限定的ながらも)合理性を追求して政策実現を図ってくるなかで、しばしば、法的権限区分ではEUでなく加盟国に権限がある政策分野においても、実質的にEUの政策効果が及びうる状況をもたらされてきた。その様子を(Ⅰ)加盟国の福祉国家制度に関わるEU政策過程と(Ⅱ)欧州債務危機対応のEU政策過程を素材として提示した。理論的貢献としては、政策変化類型としての「政策包含」や「政策移植」という概念も提示した内容となっている。