ヨーロッパの主要各国政権変動によってEUの中長期的な総合計画(リスボン戦略)のあり方に変容が及ぶ様を実証した。2000年代前半はフランスのジョスパン政権の左派的イデオロギーの一定の影響をみたが、2000年代後半は主に英独及び東欧諸国政権に由来する新自由主義的イデオロギーがEUレベルで制度的に構築されたものの、ヨーロッパ各国の福祉制度の差違認識を踏まえた政治的妥協がなされ、世界金融危機後には、次期総合計画として社会面に比重を置き直した様子を活写した。