戦後約30年は欧州統合の政治と各国国内政治とは幸福な関係にあった。欧州単位の経済統合と、各国の国内政治での福祉国家の黄金期実現とは、矛盾せず併存してきた。しかし、欧州市場統合の深化と共に、各国で福祉国家縮減の政治が展開されはじめ、各国が福祉を正当化した「公共性」「社会的なもの」の概念は、EUの官僚制である欧州委員会により「経済的なもの」へと包摂し商品化が試みられてきた。その変遷を特に90年代から2012年にかけて実証的に分析。