EU離脱の是非を問う国民投票を想定する英国への特別措置決定に含まれた「社会給付と自由移動」の合意内容は、EU市民間の平等規範に抵触し、東欧諸国の不利益となるものだった。この内容を、なぜ他の西欧諸国も異議を唱えなかったのか、また、なぜ東欧諸国は受忍したのか。これらの問いに対する合理的説明を導出するために、域内移民と国外派遣労働の両争点を架橋した「社会給付と自由移動」の政治過程での取引関係の論理を探っている。