1990年代から2000年代半ばにかけて、政策・制度の「変わりにくさ」や「持続性」を強調する歴史的新制度論(第一世代)の分析枠組が、EU政策研究でも盛んに適用された。それに比べて、2000年代半ばに開発された「変化」を重視する歴史的新制度論(第二世代)の分析枠組はEU政策研究で必ずしも十分には適用されていない。そこで、本論文では、第一世代での研究成果を振り返りつつ、第二世代の分析枠組がEU政策研究で適用された若干例を批判的に検討し、さらに自らのオリジナルの第二世代の変化類型のEU政策への適用事例をしてみせることで、EU政策研究での歴史的新制度論の有用性を再確認しようとしている。