博士学位論文。総約30万文字。 EU政策過程において、歴史的新制度論による制度・政策変化の類型形態として挙げられる「併設」「放置」「転用」というものを、EU政策の提案者でありEU官僚制である欧州委員会が戦略的に活用する様を見出している。異なる利害を有する多様なアクターが角逐を繰り広げながら基本的には非合理性が支配するEU政策過程において、それでも合理的な政策成立を目指そうとする欧州委員会が、いかに限定された状況下での合理性(限定合理性)を追求しようとしているかを描き出して見せている。