題材書籍は、比較政治学分野の立場から、EU加盟国の国内政党、欧州議会内政党グループ、市民、利益集団等の選好を多面的に検証してEUの政治的対立構造のパターン析出を試みたものである。私は、編者の一人によるEUの政治的対立次元の仮説（中道左派と統合支持、中道右派と統合反対が結びつくとの仮説）が覆される検証結果とも解釈可能な点に注意を喚起したが、それを受けて結論で示された分析枠組の有益性を高く評価した。