本稿では、南丹市における地域の産業構造の実態・特徴を生産面と所得分配面の実態に焦点をあてている。とりわけ、輸送用機械器具製造業生産の圧倒的シェアを占める多国籍企業の分工場で現れる非正規労働者中心の雇用構造や本社への所得移転という収益構造を明らかにし、新たに生み出された付加価値が地域経済に還流しにくい構造的問題を指摘している。さらには、誘致企業に対しる南丹市の財政支援策とその効果について論じている。