本稿では、戦後の信用金庫の歴史的再編過程を踏まえた上で、近年の地域経済の沈滞のなかで預金と貸出の同時増加が現れた奈良県3信用金庫の取り組みに注目している。具体的には、こららの金融機関が地域経済に及ぼす影響(安定的な地域内再投資)だけではなく、地方自治体との関係や、高齢者向けの年金取扱い体制、地域社会の課題解決にむけた新たな金融商品の開発などの社会的効果について論じている。