野間三竹編の詞華集『本朝詩英』は、林鵞峰『本朝一人一首』と、三竹所蔵本『懐風藻』とを用いて編集されたと見られる。『詩英』収録懐風藻本文が『一人一首』収録のものと異なる箇所は、鍋島本との一致度が最も高い。鍋島本は三竹所蔵本(未発見)の書写本である可能性は高い。三竹は、『一人一首』本文を継承し、同時に自らの所蔵本に基づいて本文の検証と整序を行ったと見られる。