本研究では「生活時間に関するアンケート調査,2007」(連合総合生活開発研究所)を用い、既婚女性の雇用形態および労働時間と家事労働時間がその生活満足度にどのような影響を与えるのかをアイデンティティ経済学をフレームワークとして実証的に考察した。その結果、第1に、既婚女性は労働時間が長くなるほどジェンダー行動規範を逸脱することから発生する他者からの抑止行動から受ける効用低下に対してそれを緩和するべく生活満足度を引き下げながら労働時間を削減していること、第2に、雇用形態を考慮して分析した結果、不本意ながら非正規パート労働に従事している既婚女性の存在が明らかにされた。