特別支援学校の看護師の離職が問題となるなか,A特別支援学校(以下,A校とする)では職場に対する不満が原因で離職した看護師はいない.著者は,看護師と教員との協働のあり方が看護師の定着に大きな影響を与えているのではないかと推測した. 本研究はA校での看護師と教員との協働の特徴を明らかにし,看護師の定着と協働の関係について検討し,特別支援学校における協働に関する研究の示唆を得えることを目的とした.教員との協働に関する特徴として,1)看護師は,医療的ケア導入時には専門職として積極的な提案や教員への吸引等の指導を行っていたが,基盤が整ってからは教員らの求めに応じてアドバイスをしている.2)看護師は,教育と看護の価値観の対立が生じた場合は教員との関係性を重視し,軋轢を避ける行動をとる.3)慣習化された医療的ケアではない業務も受け入れている.4)教員は吸引を実施せず,医療的ケアは看護師がすべて行っている.5)学校は,医療的ケアに関わる重要な事項で看護師の意見を言う機会を与えていない.6)情報交換は,看護師・教員間で密に行える環境がある.7)看護師全員が,教員との関係性は良くうまく協働できていると感じている等が挙げられた.